●まんがによるまちおこしシンポジウム報告●
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【パネルディスカッション】
「まんがによるまちおこし」
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パネル・ディスカッション

牧野:それでは後半のシンポジウムに入ります。北の方から並んでおられます。まず、石ノ森萬画館運営会社である、ネーミングからして独特ですが、「株式会社街づくりまんぼう」の代表取締役の方から活動をご報告いただきます。

板橋一男

板橋一男(石ノ森萬画館運営会社・株式会社街づくりまんぼう代表取締役)
皆様こんにちは。宮城県の石巻市は鰹船の寄港地でもありまして、秋になりますと、鰹の一本釣りの方々が来るということで高知の方には大変親しみを持っています。この石ノ森萬画館を建設するにあたりまして、市民運動で8年かかっております。そもそも6人のグループからスタートし、なんとか町を元気にするもとにしたいんで建築してもらいたいと市民運動を進め、最終的には大体2,000人の署名を集めました。財政的にも大変苦しい町なもので、「とても金はない。そんな物を建てられない」という話だったのですが、ちょうど追い風が吹きまして、中心市街地活性化基本法という「まちづくり三法」というのができたんです。それでこれに乗っかりましょうということで、本庁までかけあいましたら、元気にする・独創的な町をつくるんであれば応援します、というふうになったわけです。建てるまでの8年間、市の企画部と産業部は同じ担当者で、行政と二人三脚でやってきました。

 石ノ森萬画館は20億円かかりました。国の経済産業省から中心市街地活性化の補助金で半分の10億、特別起債の方が5億、市の方にはこれで8割くらい戻ってきます。何とかみんなで知恵を出して、実質6億ぐらいで建てました。会社を作るについて、国の方針ではTMO(街づくり会社)を作りましょう、会社は商工会議所とか商工会に置きましょうというのが、大体通り相場だったのですが、うちの方はリスクは背負うけれども収益も上げたいということで市民運動でやってたんで、商工会議所と完全に対立いたしました。私もTMOの構想委員会に入ってましたが、そういう会社は絶対危ないからやめろと言われました。かかわってましたのが、商店街の人間が半分で、それ以外は町の一般企業の、大体40代の社長さんたちです。

 市民運動の関係もあって、会社の資本金として市の方が3,000万出資し、市民の方で3,000万用意してくださいということで、5対5の第3セクターを作る計画をしました。その頃中心になってました20人が大体150万ずつ出す予定でおりましたが、市民公募したらどうだというふうなことで、一株5万円なんですが、120人ほどの申し込みがありました。株が足りなくなりまして、私社長ですが、10株50万分しか持ってない。あとは全部市民の方に分けまして、株主が30人の会社になってます。実質的には私が150万出して4,800万になったんですが、市とあわせ6,000万の会社になっております。この会社には行政から誰も入っておりません。まず一番最初に考えたのは、第3セクターというのは破綻するということですね。株主の皆さんには「配当はありません。町を元気にするのが配当ですから、よろしいですか」と言ってました。ですから皆さんは出資したけど返ってくるとは思ってないと思うんです。ですが、出資いただいた以上は責任がありますんで、まず会社の理念として、経済人の集まりですから、絶対赤字を出さないということで事業計画を作っております。

 「株式会社街づくりまんぼう」は昨年2月立ち上げをしました。1年目は、いろんな設備投資を含めまして800万ほど使いましたが25万の黒字を出しています。2年目の今年度は最終決算で1,200万ぐらい利益が出る予定です。うちの会社は利益を留保するよりも、まちづくりに使うということで、とにかく利益は100万以下と決めております。今現在、まちづくりのいろんな拠点作りにそのお金を投資するということで動いております。

 うちの萬画館は2,000平方メートルなんですが、宇宙船の形をしてます。駐車場は身障者用以外全くありません。全て、商店街の駐車場を使っていただくということで、萬画館に来た時に無料駐車券をあげて、町の中を歩いていただく。とにかく人を動かせば物も動いて金も落ちるだろうと考えたわけです。まずお客さんが来て困るのはなんだろう。それは、トイレ、食べ物、お土産が困るだろうということで「まんぼうマップ」も作りました。

 萬画館がオープンしたのは2001(平成13)年7月23日なんですが、今年の3月中頃で来館者が50万人になります。マップに載っている飲食店は前年に対し多いところでは200%、少ないところでも50%ということで、今まで入ったことのない方々が大体町を歩いています。そういった経済効果は十分に出ています。

 今後の課題といたしまして、町の投資や新たな拠点作りということになっております。石巻の町というのは伊達藩62万石、北上川の河口にあります。江戸時代は江戸の米相場を動かすくらいの量の米が石巻から千石船で行っております。そういった川面に建っている萬画館なんですが、JR東日本が今年度、「まんがの国・石巻」ということで全国に情報を発信して、まんが列車を作り、時刻表にも載せて、町を元気にしていきたいということで1,000万ほど予算つけて、石巻駅の改造が始まっております。

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