●まんがによるまちおこしシンポジウム報告●
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【市長挨拶・報告】
「まんが王国・土佐とまちおこし
〜アングレーム国際まんがフェスティバルにふれて〜」

高知市長:松尾徹人

まんがによるまちおこしシンポジウム

 皆さん、こんにちは。今日は大変お足元の悪い中を、「まんがによるまちおこしシンポジウム」にご参加いただきまして誠にありがとうございます。まんが界の大御所・横山隆一先生は、私たちの大先輩であり、またまんが家としては初めて文化功労者となられました。そして、やなせたかしさん、はらたいらさん、黒鉄ヒロシさん、くさか里樹さん等々、現在ご活躍をしているまんが家がたくさんおられます。このまんが文化といったものを高知から発信していく必要があるのではないかということで、行政としても今、真剣な取り組みを始めているところです。

 なぜ高知でまんが家がこんなに育つのだろうか、そのことを改めて振り返ってみますと、どうも坂本龍馬が文久2年6月24日に姉の乙女姉やんに出した手紙にあるように思います。これは龍馬とお龍さんが寺田屋で襲われた後、薩摩、今の鹿児島県に日本で初めてのハネムーンに行き、霧島の温泉に83日間療養したわけです。その時に龍馬が出した手紙を見ると、まさにこれが土佐人のセンスかなと感じてるのですが、非常に軽妙、ユーモア、洒脱、そして大変楽しい手紙文になっております。しかも高千穂の峰の絵が大変克明に描いてあり、かつあちらこちらに注釈があって、非常にユーモアセンスに富んでいるんですね。まさに土佐人はそういうように底抜けに明るく陽気で、ユーモアのセンスを持ち、そして反骨の精神、自由の精神を持っている。そのことがまんがを育てる一つの風土ではないかと私は感じております。

 その意味で、高知からまんが文化を発信しようということで、横山隆一記念まんが館を昨年やっと完成することができました。残念ながら、その前の年に横山隆一先生が他界されたわけであります。横山先生に完成したまんが館をご覧いただきたかった。その事が本当に残念でございます。しかし、先生も喜んでいただいているのではないかと思っております。

 今日はまんがについてのまちおこしを先進的に行っておられる方々にお集まりいただいて、すでに取り組んでおられるいろんなことをご報告いただき、私たちの参考にさせていただきたい。そしてできればお互いにネットワークを組み、今後とも情報交換をしながら、まんが文化といったものを全国へ、あるいは世界へ発信するという日本のまんが文化を育てる原動力にお互いなったらどうだろうか。そのひとつのきっかけにもなればと思っておるわけであります。

まんがによるまちおこしシンポジウム

 今日は私にもひとつの役割があります。それは先月、フランスのアングレーム市に行ってまいりました。アングレーム市には国立のまんが館「フランス国立まんが映像センター」があり、そこを中心に第30回国際まんがフェスティバルが開かれました。実はその前年に初めて伺いまして、その時にアングレーム市の市長さん、当時38歳でモテさんというんですが、意気投合して「是非、横山隆一記念まんが館のオープンの際にはおいでください」とご案内申し上げたところ、昨年の4月にわざわざ高知までおいでていただきました。そのお返しということじゃないですが、今回訪れたわけです。

 その時の様子を私の下手なデジカメで撮ってまいりましたので、ちょっとご報告をさせていただきたいと思います。

 実は今回の目的は、第30回国際まんがフェスティバルを見せていただくとともに、世界でまんがに力をいれている都市の連携、まんが都市国際ネットワークを作ろうではありませんかということで、今回その協定に調印をすることができました。これはアングレーム市の市長さんが高知に来られた時に思いつかれたことのようですが、ベルギーのブリュッセル市、シャルルロア市、ポルトガルのアマドラ市、フランスのアングレーム市、イタリアのルカ市、カナダのケベック市、日本では私ども高知市、全部で7都市がこれに参画をしたわけです。

 アングレーム市の位置ですが、パリからTGVという新幹線で2時間15分くらい南下したところにアングレーム市があります。人口46,000人、中世の町がそのまま残っている大変素敵な雰囲気の町です。

 これが町の現況です。この赤い印がついておるところが今回の国際まんがフェスティバルのパビリオンで、町のあちこちにあります。いろいろなところに大きい壁画が描いてありまして、これもまんがなんですけれども、国際まんがフェスティバルのグランプリをとられた方が描くということに大体なっております。

まんがによるまちおこしシンポジウム

 ここは確か公営住宅の壁面だったと思います。ちょっとご注目いただきたいんです。これは天使の絵なんですけども、影なんですね。それで向かい側に建物がありまして、天使のレリーフがここにあり、この影が先程のところに出ておるという、ひとつのユーモアです。

 この町の雰囲気ですが、まんがフェスティバルの垂れ幕がたくさん掲げられておりました。これは市役所です。12世紀にできた古いお城をそのまま市役所に使っています。これは先程のお城の塔の方で、これは北側の入り口の方です。何をしているかというと、パビリオンに入るために並んでいるんですね。すごい行列でした。

 これは通りの風景です。ベルギーの世界的なまんが「タンタン」の作家・エルジェを記念して「エルジェ通り」と命名したオープニング行事に、ベルギーの皇太子ご夫妻が招かれていました。この子どもなんか見ていただきますと、ひげを描いたりして、扮装している姿が観客の中に随分見えました。いろんなデコレーションが町のあちこちにありました。これは本物の街灯なんですが、そのそばにまんがの車がぶつかっている風景、警官が注意している、まんがの像が立っている、そんな風景です。

まんがによるまちおこしシンポジウム

 今後、7都市間の色々な交流が始まりますが、今回の話し合いの中で、まずはホームページを共同で作ってそれぞれの情報を提供しようじゃないかということを決めました。また7都市共通のネットワーク都市賞という賞を設けたらどうか、その財源もできればEU、ヨーロッパ共同体からもらったらどうかとか、いろんなアイデアが出ております。また、若手のまんが家同士が交流をする、留学をしあう、訪問をしあうとか。また作品の交換だとか、いろんな展開が考えられ楽しみに思っているところです。

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